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「相続」を「争族」にしないために。不動産鑑定士が教える生前整理の重要性

コラム

「親が亡くなった後、実家や別荘をどうすればいいか分からない」 「相続税を払うために、急いで不動産を売らなければならない」

こうしたご相談を日々お受けします。しかし、相続が始まってから(亡くなった後から)動き出すと、10ヶ月以内に多額の相続税支払いが控えているため、焦りから相場より安く処分してしまったり、十分な検討なしに売却してしまったりして、兄弟間でのトラブルに発展するケースが少なくありません。

資産の多くを「不動産」が占める場合、その価値を事前に正しく把握し、準備をしておくことが、お子様たちへの「円滑かつ損のない資産継承」の鍵となります。

【免責事項】 本稿は不動産評価の観点からのアドバイスです。具体的な相続税額の算出や申告については、必ず税理士にご相談ください。あおぎり不動産鑑定では、提携税理士を交えた包括的なコンサルティングも承っております。


なぜ「生前」の査定と整理が必要なのか?

理想を言えば、3社から5社の不動産会社に相見積もりを取り、中間的な「適正価格」を提示する信頼できる会社を見極めることが理想です(極端に高い査定は、客寄せのための「高預かり」のリスクもあります)。

しかし、数社とやり取りするだけでも膨大な時間がかかりますし、各社とも自社で受託したいため、強引な営業を受けることも少なくありません。

不動産鑑定士は、不動産会社とは立場が異なります。 私たちは「売る」ことを前提とせず、第三者の立場から、お客様のニーズ(早く売りたいのか、じっくり売りたいのか)に合わせて「売却すべき価格」を算出します。時には「今は売却しない」という選択肢も提案可能です。客観的な「適正価値」を知ることで、以下の冷静な判断が可能になります。

  • 今、売却して現金化しておくべきか?
  • 相続税の節約(圧縮)のために、不動産のまま持つべきか?

これらは、相続人の構成や資産背景によって正解が異なります。代表的な5つのケースを見てみましょう。


あなたはどのパターン?相続対策の5ケース

1. 【資産少額・配偶者あり】生前にじっくり売却検討

  • 状況: 相続財産が基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)に近い。死後は奥様が住み替えを希望している。
  • 対策: 配偶者控除で税負担は抑えられますが、古い実家はお子様にとって将来の管理負担になります。生前に納得のいく価格で売却し、奥様の住み替え費用を確保。あわせて、お子様への生前贈与(年間110万円の非課税枠など)を活用して資産を整理しておくのが得策です。

2. 【資産家・配偶者なし】遺言書で「出口」を固定

  • 状況: 配偶者が既に他界。相続人が納税資金(現金)を十分に持っている場合。
  • 対策: 不動産として保有し続ける方が相続財産の圧縮に有利です。ただし、死後のトラブルを防ぐため「この不動産はAが相続し、売却が必要な場合は〇〇(弊社等)に相談すること」と遺言書に残します。これにより、お子様が迷わずに公平な換価分割(売却して分けること)を行えます。

3. 【現金不足・投資物件多数】納税資金の確保を優先

  • 状況: 収益物件は多いが、相続税を払うための現金が足りない。
  • 対策: 全ての物件を持ち続けると、納税期限に追われて「叩き売り」する羽目になります。鑑定評価により「収益性の低い物件」を特定し、生前に売却して納税原資を作っておく、あるいは生命保険の活用を検討すべきケースです。

4. 【特定の子が同居】評価の確定と遺留分の手当て

  • 状況: 長男家族と同居しており、その家に住み続けさせたい。
  • 対策: 他の兄弟から「不公平だ」と声が出やすいパターンです。売却予定がなくても、事前に「鑑定評価書」を作成し、不動産を継ぐ子が他の兄弟へ支払う代償金(遺留分等)をいくら用意すべきか、今のうちにプランを練っておく必要があります。

5. 【共有名義の回避】生前の組み換えと分割案

  • 状況: 価値や用途が異なる複数の不動産があり、兄弟で分けるのが難しい。
  • 対策: 1つの不動産を共有名義にすると、将来の活用や売却ができず、必ずもめます。生前に不動産を分筆したり、同価値の資産に組み替えたりして、兄弟が納得できる「分けやすい形」を事前に作成しておくことが重要です。

鑑定士のアドバイス:幸せな継承のために

相続税のために「不動産として持っていた方が得」な場合もあれば、争いを避けるために「現金化した方が得」な場合もあります。

私ども不動産鑑定士は、お客様の資産背景(例:現金2,000万円、不動産6,000万円など)を丁寧に伺い、どちらがご家族にとって「損がなく、もめない道か」をシミュレーションいたします。

大切な資産を、お子様たちの負担に変えないために。まずは一度、現状の不動産が「本当はいくらの価値があるのか」を知ることから始めてみませんか。

あおぎり不動産鑑定

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