先日評価を行った「築2年・RC造3階建アパート」の事例をもとに、評価方針や実務上の留意点を整理しました。投資用不動産の評価におけるチェックリストとしてご活用ください。

1. 対象不動産の確認・調査

まずは基本情報の照合がスタートラインです。

2. 地域分析・市場分析の視点

近隣エリアの特性を掴み、将来性を予測します。

3. 個別分析(物件の強み・弱み)

本物件の「市場競争力」を具体的に評価します。

4. 鑑定評価の手法と留意点

【原価法】積算価格の査定

【収益還元法】収益価格の査定(※今回はこちらを重視)

【取引事例比較法】

5. 結論評価額の決定:典型的な需要者(投資家)の意思決定基準に基づき、「収益価格」を標準として決定しました。積算価格は参考にとどめます。

あおぎり不動産鑑定

分譲マンションの査定を行った際の備忘録を掲載いたします。どのような査定を行っているのかの指針になればと思い掲載しております。

【対象不動産】駅徒歩4分、地上14階建マンション4階部分 88㎡3LDK

【同一需給圏】典型的な需要者である個人のエンドユーザーが、長野県の中心市街地へ通勤可能な地理的範囲

【近隣地域】駅に近く、中心市街地までも自転車通勤も可能な交通利便性に優れ、スーパーや小学校が近接する生活利便性も高い、高層分譲マンションが建ち並ぶ地域

【将来動向】駅への近接性や利便性の高さから低層店舗等が解体され、中高層マンションへの建替えが緩やかに進行中

【典型的な需要者】自己の居住用として使用することを目的とする個人エンドユーザー

【市場分析】

・新築マンションは5,000〜6,000万円(単価60〜70万円/㎡)

・中古マンションは築10年で3,000〜4,000万円(単価40万円前後/㎡)

・中古マンションは築30年前後で1,000〜2,000万円

・近年は供給が増加傾向にあり、需要者が中古から新築へ移行する傾向

・中心の供給専有面積は以前の85㎡からやや狭めの75㎡に変化

【代替競争関係にある不動産と比べた優劣】

・駅から徒歩約4分の交通利便性

・南向き角住戸のため眺望、日照、通風に優れる

・幹線道路の騒音影響は4階で軽微

・平成27年築で専有面積約88㎡、御影石使用など品等も優れる

総合的に代替競争関係にある不動産よりやや優位な競争力を持つと判断

【最有効使用】対象である自用の区分所有建物とその敷地は現況のまま継続使用

【留意点】

・マンションの修繕費積立金の金額 

将来予想される外装塗装の工事見積と修繕費積立金の累積積立金額との比較

修繕費積立金の現状の水準と、国交庁のガイドラインの金額の比較

・マンション価格に影響を与える主な価格形成要因の把握

  →築年数、最寄駅からの距離、小学校までの距離等の住環境

・共益費の取り扱い 共込家賃か否か

・管理規則の確認 管理費、修繕費積立金、計画、累計積立額、特約事項の有無、規約敷地や専有使用権の確認

・管理費滞納の有無

【評価手法】原価法、取引事例比較法、及び収益還元法の三手法を適用し、これら試算価格の検討

マンションの再調達原価と新規売り出し中のマンションの価格との整合性

一種単価、単価、容積率、駅距離、敷地規模

実際の成約事例(特にオーナーチェンジ)を基礎にしてNCF利回りを査定

規模、駅距離、グレード感による利回り格差の把握

・修繕費積立金の予測

【鑑定評価額の決定】

・典型的な需要者が自己居住用のファミリー層

需要者が重視する価格形成要因を適切に反映している比準価格を標準

積算価格と収益価格を参考に留め、鑑定評価額を決定しました。

新規家賃の査定を行った際の備忘録を掲載いたします。どのような査定を行っているのかの指針になればと思い掲載しております。

1.対象不動産の概要と需要者設定

2.市場分析と賃料査定の留意事項

3.評価方針と適用手法

(1)積算法

(2)賃貸事例比較法

4.評価賃料の決定

上が、新規賃料、いわゆるアパート等の家賃を求める際の手順や評価にあたり留意している点の概略をまとめさせていただきました。

対象不動産によって、需要者や価格動向、慣行は異なりますので、不動産鑑定士は案件ごとにこのような詳細な分析や査定を専門的に行っております。

令和7年度の不動産鑑定士試験の合格者が発表されました。

不動産鑑定士の論文式試験は、例年月に実施されており、その合格状況は以下の通りでございます。

昨年度の試験では、981名の方が受験された結果、173名が合格し、合格率は17.6%でした。私が合格した令和年度は、847名の方が受験され、147名が合格されており、合格率は17.3%程度でございました。

合格者数自体は昨年度から26名増価しておりますが、17%台という合格率は安定しており、努力が結果に結びつきやすい試験と言えます。

また、試験全体の難易度を把握するため、短答式試験(一次試験)の結果も見てみましょう。受験者2,144名のうち、779名が合格し、その合格率は36.3%です。

一次試験と二次試験を合わせた最終合格率は、36.3% × 17.6% = 6.4%となり、この数字は、不動産鑑定士試験が非常に価値ある難関資格であることを示しています。

弁護士や公認会計士といった他の士業と比較して科目数は多いものの、一年間しっかりと集中的に勉強すれば、十分に合格を勝ち取れる資格だと感じております。そして、合格後に得られる社会的地位やキャリア上のメリットは、弁護士並みに大きいと確信しておりますので、ぜひ多くの方に挑戦していただきたいと考えております。

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